連携確認し、課題共有 図上・実動で国民保護訓練 県対策本部

2024年01月22日

地域

県庁に設置した対策本部で情報収集する国民保護共同図上訓練の参加者ら=21日、鹿児島市

他国からの武力攻撃が予測される事態を想定した鹿児島、熊本両県共同の国民保護訓練が21日あり、鹿児島県が対策本部を置いた鹿児島市の県庁では、18日に続き関係者が参加して図上訓練が行われた。屋久島と口永良部島からの高齢者ら要配慮者の島外避難や、県本土での受け入れ状況などについて情報収集。避難・救援計画に基づき連携を確認し、課題を共有した。

 

国民保護訓練には、オンラインを含め両県合わせて約50機関から約300人が参加した。

 

図上訓練は屋久島町での実動訓練と連動して実施。参加者が総括、消防・航空運用調整、住民輸送、保健医療福祉調整など各班に分かれ、現地とも連絡を取りながら集めた情報をボードにまとめていった。気象条件や県本土での交通渋滞など、住民避難に影響を及ぼす可能性がある情報は随時、全体で共有した。モニターには現地からの中継映像が映し出され、避難の進展状況を確認しながら作業を進めた。

 

危機管理学・安全保障研究が専門で訓練評価委員長を務めた中林啓修国士館大学准教授は「昨年取り組んだことを踏まえて前進できた訓練だった。今後は住民とのネットワーク、連絡体制をしっかり確立していくことが重要。今回の訓練でできたことは自信とし、できなかったことは目標として、着実な取り組みを進めてほしい」と総括した。

 

鹿児島県の長島和広総括危機管理防災監は「漁船やマイカーでの避難、ペットや家畜はどうするのか。また、長期避難者への対応については収容、就労、生活保障といった問題も出てくる。今回の訓練成果を踏まえ、関係機関と連携してより実効性が高まるよう取り組んでいく」と述べた。